もっとも多いめまい

めまいメニエール病センターの集計で、もっとも多いめまいは浮遊耳石症(良性発作性頭位めまい症(BPPV)を含む)です。全体の73.9 %を占め、全世代で見られ、女性が男性の2.4倍です。以前は高齢者の病気とされていましたが、近年は、比較的若い世代の女性の病気になっています。かつての原因不明の軽症めまい(めまい症)の多くが、この病気と推測されます。

浮遊耳石症3,512名の年齢分布
(良性発作性頭位めまい症を含む、2006.5-2013.5)
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典型例の症状は、起床や就床、寝返りで短時間、天井がグルグル回り、奈落にしずむ感じをおぼえます。洗顔やトイレで、前屈からもとの姿勢にもどった瞬間に、奇妙な感覚におそわれます。歩くとフワフワして足元がゆらぎ、人混みの中を歩くのが苦痛となり、しばしば吐き気や嘔吐をともないます。これらの症状は日毎に、あるいは一日の中でも変化し、気まぐれにくり返し、体調不良や不眠があると起きやすくなります。後頸部や後頭部、肩のこりや痛みを訴えます。半数弱の患者さまに、耳の詰まる感じや耳鳴り、音の響きや割れ、聞き辛さ、耳痛など耳症状があり、検査でしばしば聴力が低下しています。

ときにいちじるしいゆらぎや歩行不安定を示し、お年寄りで脳梗塞が疑われることもあります。この病気は、回転性めまいが突然おこり、短時間で治まり、耳症状をともなわないことが診断基準となっています。しかし、めまいの性質はさまざまで(下図、左)、めまいが長く続くこともあり、耳症状をめまいと前後して、あるいは単独にも高率に訴えることが判明してきました(下図、右)。耳症状がなぜおこるのか現時点で不明ですが、浮遊耳石に原因することは確かです。良性発作性頭位めまい症の再発予防対策を実践すると、耳症状も早期に軽快・消失するからです。したがって、浮遊耳石症の名称の方が適切かもしれません。めまいと耳症状があるため、夥しい数の患者さまがメニエール病と誤診されています。

浮遊耳石症4,094名
(良性発作性頭位めまい症を含む、2011.7-2016.2)
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浮遊耳石症(良性発作性頭位めまい症を含む)
2,513名の有害な生活習慣(2006.5-2012.4)
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生活習慣を調べると、運動しない85.7 %、同じ姿勢で眠る63.4 %、低い枕を使う62.1 %、横になってテレビやスマホを観る・読書する50 %、長いデスクワークや作業47.8%、腰痛がある41.2 %でした(上図)。仕事がデスクワークで、運動しない方々に多く見られ、運動不足、低い枕(低反発枕の普及)や低頭位姿勢、長い着座が有害なのです。腰痛があると、これを避ける同じ姿勢で眠る傾向があります。女性が男性よりもはるかに多いのは、事務職や立ち仕事が多く、動作が穏やかで、タブレットを触る時間が長いためでしょう。昼間は直立頭位なので、浮遊耳石が低いところに沈殿し、夜、就床で頭が低くなると、さらに低い半規管に移動します。不眠症は症状を出やすくするようです。

典型例であれば、頭の姿勢をある手順で変える理学療法(浮遊耳石置換法:エプリー法、レンパート法)で、瞬時に浮遊耳石を半規管外に排出することができます。しかし、受診時にこの治療法が適用となる例は、全体の20%弱にすぎません。また、この手技が成功しても、有害な生活習慣を改めないと高い確率で再発します。投薬はまったく無効で、当施設では下に示す再発予防策を指導しています。本治療はきわめて有効で、初診1ヶ月以内に90%以上の患者さまが軽快、治癒し、以降の通院が不要となります。

BPPVの再発予防
  1. 枕を少し高くする
    固めの枕の下から背中にバスタオルを挿入する
  2. 朝夕、ラジオ体操の一部を行う
  3. 通勤で遠回りし速歩、少し走る
    主婦・自営業・高齢者:毎日、朝と夕に30分速歩
  4. デスクワーク/洋裁/作業/ガーデニングを長くしない
    時々ジャンプ5,6回/2時間
  5. 仕事がデスクワークの人は帰宅後、パソコン、ケータイをしない
  6. テレビ、ケータイ、ゲーム、読書を横になってしない
  7. 無投薬(抗めまい薬は無効
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